開運橋を作る(上)

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岩手のバスシーンを再現するうえでは欠かせない開運橋を、プラ板からのフルスクラッチで制作しました。

 

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実物の開運橋は下路式ランガートラス1スパンとRC桁2スパンで構成されていますが、工作のメインとなってくるのは勿論ランガートラスです。ランガートラスは、アーチ橋の一種であるランガー橋のうち補剛桁をトラス構造としたもので、曲げを負担する補剛トラスと圧縮のみを負担するアーチリブから構成されます。圧縮力を受けるアーチリブは座屈への対策が必要ですから比較的しっかりした造りとなっていることが見て取れます。対して吊り材は基本的に引張力のみを負担するため座屈を考慮する必要がなく、特に支間中央部では非常に華奢なつくりとなっています。また、路面より上の目につく部分ではダブルレーシングを多用しており、これも繊細な印象に寄与しています。このあたりを考慮しつつ、まずはポンチ絵を描いていきます。

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圧縮されたらひとたまりもなさそうな吊り材。この透け感・抜け感は模型でもイメージを損なわないために大事にしたいところです。

 

 

プラ板の組み合わせによるトラス構造の自作は、既に前作(大迫バスターミナル車庫)で実践済みですので、基本的な考え方はそのスケールアップになります。ただし、前作ではペラペラのプラ帯板をそのまま一枚板で使用してしまった部分があり、後々強度に不安が出てきたので、今回は原則すべての部材を補剛(一枚板ではなく、薄板をT型あるいはI型等に組み合わせて使用)するよう注意しました。また、今回は作図に無料のJw-cadを使ってみました。手書きだとどうしてもピッタリいかない斜めの部材や繰り返しのパターンもきっちり長さが出るので、組み立て作業は前作よりも大分スムーズになりました。

 

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 模型化にあたっては支間長、アーチライズともに縮小し、吊り材の本数もそれに合わせて減らしています。個人的にはファインスケールよりも若干圧縮をかけた方が情報の密度が上がって細密感が出るような気がしていますが、このあたりは好みによるところですね。

 

図面(と名乗れるレベルのものではありませんが...)ができたら、これをもとに橋を組み立てていきます。今回はタミヤのt0.5,t0.3,t0.1を用意し、用途ごとに所定の幅に切り出して使いました。組み合わせ部材についても、基本的に平板を組み合わせることで再現しています。エバグリやウェーブの製品を用意しておけば時間短縮になるとは思うのですが、お財布と相談ということで(汗)

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今回程度の大きさであれば、楽しい工作シリーズのアソートセット一つで十分まかなえます。

 まずはアーチリブ(ウェブ:t0.5、下フランジ:t0.1、上フランジt0.3)です。実物は格点間を直線で結んでいるので、図面に合わせて格間ごとにウェブを切り出し、接合部にt0.1の連結板を当てて一体化しています。

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 ウェブを一体化したら、下フランジを接着します。適当な幅に切り出したt0.1プラ板を流し込み接着剤で固定します。

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続いて吊り材(ウェブ:t0.3、フランジ:t0.1)です。こちらも所定寸法に切り出したプラ板を図面の上で組み立てていきます。上写真のように2本の帯材の間に小片を配置し、流し込み接着剤で固定します。このとき図面もくっついてしまうことがありますが、その場合はカッターの刃を差し込んで剥がします。

 

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アーチリブのウェブと吊り材が揃ったところで両者を接着し、更に同様の方法で補剛トラスの弦材(ウェブ:t0.5、フランジ:t0.1)も作成します。t0.1を切り出したバッテンと長方形を並べて接着することでダブルレーシングとタイプレートを再現し、これによって対になるウェブを接合します。なお、実物では支間中央部の2格間のみ、下弦材タイプレートが格間を1枚でカバーし長円形の穴を持つタイプとなっているため、これも再現しています。

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最終的に「ロ」状の閉じた形状になる補剛トラス部材などは、一気に組み立てると内側の塗装ができなくなるため先に塗装してその後で口を閉じます。アーチリブ上面についても格間ごとに切り出し、接合部にはt0.1の連結板を当てておきます。

ここに補剛トラスの斜材を追加すれば、主構は完成です。補剛トラスのガセットプレートにはt0.1プラ板を使用しました。斜材はレーシングバーがシングルレーシングとなるものの、それ以外の構成は弦材と変わりません。
 

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当然ながら主構は同じものが二つ必要ですが、モチベーションの維持が問題です(汗)


続いて対風構や床組を制作していきますが、思ったより長くなりそうなのでここで記事を分けようと思います。続きの更新までもうしばらくお待ち下さい。