南部バス 八戸200か・864/蛇沼

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KC-LR333J/I-BUS/99-?

三戸営業所に所属するワンステップのLRです。

 もとは岩手200か1668のナンバーをつけて県北バス沼宮内営業所に所属していた個体で、南部バスがみちのりグループ入りした後に三戸へやってきました。転属に際して車体の再塗装が行われ、沼宮内所属時にLEDだった行先表示器は幕式のものに交換されています。運賃箱は両替機能のない簡易的なものを搭載しており、整理券発行機や運賃表示器も撤去されるなど完全にコミュニティ仕様となっています。

諸々の特徴から分かるように京浜急行バスからの移籍車で、車内には元社番C2911を剥がした跡が確認できます。

 

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三戸営業所にて オフセットした前面方向幕が出自を物語ります。くたびれた塗りホイールと緑幕の対比も堪りません。

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蛇沼にて 二戸、三戸でお馴染みの「石の店かみと」広告もついてすっかりご当地に馴染んだ様子。

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この時期の京浜急行らしい紺モケットの座席が並びますが、中ドア向かいの2席は他車の発生品に交換されているようです。座席背面の注意喚起ステッカーは岩手県バス協会のもので、本車の経歴を物語っています。

 

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沼宮内所属時(2016年2月) 当時はLED行先表示器を付けていました。よく見ると「一般乗合」表記が中ドア後ろの妙なところにありますね...

 

 

乗車記

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三戸営業所にて 事務所前の乗り場で発車待ち。

蛇沼線の始発地は、味のある建屋にひび割れた舗装の乗り場がたまらない三戸営業所。バス停のベンチで待つことしばし、三戸町コミュニティバス用の緑幕で「蛇沼」を表示した864号車が駐車エリアから乗り場へやってきました。ドアを開けてエンジンを切ると運転士さんは一旦事務所へ。百点満点な「ローカル路線の発車待ち風景」に気分が高まります。

 

三戸営業所を出たバスは、まず三戸の中心部を抜けて三戸中央病院へ向かいます。空気輸送かと思いきや、市内相互間の利用もそれなりにありました。道の駅さんのへの先で北に折れて小さなサミットを越えると宇藤坂、ここで杉沢線と別れて独自区間に入ります。

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葛子平付近にて 唸る6HH1に車窓を流れる農村風景。なんとも贅沢な時間です。

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葛子平付近にて 帰路に撮影した上写真の地点です。この風景の中を幕のLRが走ります。

野沢口を過ぎると、あとはひたすら小猿辺川の谷筋に沿って狭隘路を進んで行きます。狭隘区間とはいえ対向車も少なく、新井田、葛子平、下川原と集落を辿っていくとあっという間に終点の蛇沼です。蛇沼では未舗装の折返し場所に入り、幕を回送に変えた864号車は元来た道を帰って行きました。

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蛇沼にて 片道回送ゆえの乗車難易度の高さもまた、蛇沼線の魅力です。

蛇沼から帰る方法はいくつか考えられますが、今回は南部町多目的バスの二又に抜けるルートをとりました。蛇沼から二又までの距離は約4.5㎞、蛇沼線の蛇沼着が15時01分、多目的バス二又線の二又発が16時27分なので、無理なく乗り継ぐことが可能です。

 

 

【2020年6月訪問】

都道府県をまたいだ移動の自粛要請が解除された後の訪問です。

※事業者名について、本記事中では「南部バス」と表記しています。