十和田観光電鉄 八戸200か・・84/鶴ヶ崎

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 KK-LR233F1/I-BUS

三本木営業所に所属する、十鉄オリジナルカラーのエルガミオです。

 当初はE尺トップドアという個性的な仕様を採用した十鉄ですが、この世代からはF尺前中引戸に落ち着いています。中扉は「車椅子専用乗降口」で、通常は前扉のみを使用して前乗り前降りで運用されています。

十鉄ではしばらく前から自社発注ミオの修繕・一部再塗装を行っているようで、本車も比較的綺麗な外観となっています。 もっとも、よく見ると鋲が見えていたり、パネルラインが埋まっていたりと「北東北のエルガミオ」らしさを感じられる要素は健在です。

車体補修が行われまだまだ使う意思が感じられるのは嬉しいところですが、周辺事業者の多くで自社発注KK-LRの廃車が進んでいる状況もありますので、機会を見て悔いのないように記録していきたいところです。

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七戸案内所にて 前乗り前降りで使用されるため側面幕や社外スピーカーの位置が前寄りとなっているほか、足元灯の設置も前扉のみとなっています。

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鶴ヶ崎にて 「ワンステップバス」や「低公害車」のステッカーが堪りません。フェンダーや裾は比較的綺麗な一方で、非常口やエンジングリルまわりでは錆が表出し始めています。補修痕も相まってステキな雰囲気です。

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十鉄では中扉直後が一人掛けとなっているのが特徴です。黒い握り棒、窓下モケット、日焼けした枕カバーなど「いかにも」な小道具が揃っています。

乗車記

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七戸案内所にて 自社カラーの幕ミオ、サボ置き場、みちのくコカコーラボトリングの赤い椅子...北東北のターミナルにあってほしい役者が揃っているのが七戸案内所です。

春先の三八上北は薄曇り。まだまだ風が冷たい七戸案内所で鶴ヶ崎行きの幕を掲げて待っていたのは、十鉄カラーのエルガミオでした。

七戸案内所を出た舟ヶ沢線のバスは、病院やスーパーのある七戸の中心部をぐるっと回り、再び七戸案内所を通って天間方面へ向かいます。整理券番号は2回目の七戸案内所でも始発と同じ1番となっており、市街を循環しても以遠への運賃は変わらないようです。

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七戸案内所にて バスは一旦市街地へ向かい、数分後には同じ道を戻ってきます。

市街地から戻ってきたバスに乗り込むと、先客は一人だけ。しばらくは4号線を北上し、七戸十和田駅周辺でぽつぽつお客さんを拾います。七戸町役場で東に折れて国道を離れると、舟場向川久保の辺りで車内は貸切になってしまいました。特に狭い訳でもなく、家並みが途切れるでもなく、なんとも言えない風景の中をしばらく進むと乙供です。バス停名に「駅前」はつきませんが、青い森鉄道乙供駅の前にポールが立っており、バスは律儀に乗り場へ寄せて停まります。

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徳万館付近にて(復路撮影) 乙供を過ぎると、車窓は広漠としたものに変わります。

 乙供を出ると家並みも途切れがちになり、蒼然、甲地など耳慣れない響きのバス停が続きます。甲地小の先で農道に入ると、蓼内入口の手前まで舟ヶ沢線では数少ないセンターラインが消える区間です。農道から復帰してしばらく走り、台地の縁をぐぐっと下ると突き当たりに小川原湖が広がり、路線名にもなっている舟ヶ沢の集落に躍り出ます。

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舟ヶ沢付近にて 広い湖畔、ぽこぽこ浮かぶ雲。どこか現実感の薄い風景に6HH1エンジンの音を響かせて。

 舟ヶ沢の集落を抜け、湖面を横目に小さなサミットを越えるとそこが終点鶴ヶ崎。小さなスタンドの前のスペースで転回して折返しの発車を待ちます。昼下がりの湖畔の集落は車通りも無く、静かな時間が流れていました。

 

 

 

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【2021年3月訪問】

※2021年4月のダイヤ改正より、鶴ヶ崎は路線バスで往復できなくなります。