新宿線をはじめとする高速路線や駒ヶ岳ロープウェイ線のイメージが強い一方で、地域輸送を担うローカル路線も個性派揃いの伊那バス。日本アルプスに囲まれた最高のロケーションを駆けるローカルバスは魅力十分...なはずなのですが、車種構成ゆえか、はたまた土休日は軒並み運休となるダイヤゆえか、なかなか注目されません。ということで、この記事では筆者が独断と偏見により伊那バスのローカル路線の見所をご紹介します。どうせリエッセでしょ、で終わっちゃ勿体ない!
①バス停のデザインがイイ!
まずはなんといってもこれです。バス停のデザインが秀逸。
白地に赤縁のシンプルな色使いの丸板にバス停名が踊り、広告が入る場合は紺色帯が加わります。明度を抑え落ち着いた色使いは風光明媚な伊那谷の情景によく馴染み、バス停だけでご飯三杯は余裕です。コミュニティ転換された線区でも従来デザインの残存率は高く、手書きのものもしばしば見かけます。
余談ですが、我が家には信州バスまつりの廃品販売で購入した伊那バスのバス停丸板があります。1枚常備しておくだけで心が落ち着くのでおすすめです(?)
②バスのデザインがイイ!
伊那バスの一般路線車の塗装はクリーム地に青帯を巻いたもので、バス停と同じくシックな雰囲気がたまりません。昨今、特に地方の事業者では直営路線・受託路線を問わず白一色塗りや名所名産ラッピングが跋扈しつつあります(もちろんそれに至る諸々の事情はある程度理解しているつもりです)が、伊那バスではモノコック時代からのこの塗装デザインを継続採用しています。ローカル路線のほとんどがコミュニティ化されてもなお自社塗装を堅持する姿勢が格好いいですよね。
(単純に筆者が青色ストライプ塗装にめっぽう弱いというのもありますが)
③ロケーションがイイ!
家々を縫い、河岸段丘に取り付き、木々の間を抜けて。
派手すぎない塗装のバスは伊那谷の風景と調和し、しかし決して埋もれることはなくその存在を主張します。ひとたび車上の人となれば、車窓に広がるのは天竜川を初めとする河川とアルプスの山々が作り出す風景。撮って良し、乗って良しの素敵な路線群が待っています。
④公式時刻表のデザインがイイ!
さて、ここまでご覧頂ければ、そろそろ伊那バスのローカル路線が気になってくる頃合いではないでしょうか。それでは公式HPから時刻表を調べてみましょう。お薦めは近年まで直営で残っていた西箕輪線&大鹿線です。ダイヤを淡々と落とし込んだ、色がないからこそ色気溢れるモノトーンの世界観。硬派で一見近寄りがたくも、実は全バス停掲載という優しさ。ローカル路線らしいぶっきらぼうな表情が心を揺さぶります。もちろんバス停掲示の時刻表もシンプルイズベストな仕様です。
近年はコミュニティ転換が進み彩り豊かな時刻表が増えてきましたが、ぜひこのスタイルを貫き通してほしいものです。
...このような書き方をするとインフォメーションが不十分という捉え方をされてしまうかもしれませんが、長野県公式の無料アプリ「信州ナビ」を利用すれば時刻・経路・運賃検索が可能なほか、地図上で路線や停留所を確認することが可能です。また、例えば西箕輪線であれば伊那市HPに路線図と時刻表がセットになったPDFファイルが公開されているなど、自治体や協議会から公開されているものも含めると情報量は他地域よりもむしろ豊富だと言えます。
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いかがだったでしょうか。この記事を通じて「どうせリエッセだから」で片付けるには勿体ない伊那バスローカル路線のポテンシャルを少しでも感じていただけたなら幸いです。
※この記事は、いちマニアが勝手に伊那バスのローカル路線を紹介しているものです。
※新山線は平成31年3月29日の運行をもって廃止されました。
※新山・桜井・貝沼線は令和3年3月30日の運行をもって廃止されました。
※富県・東春近地区循環バスは令和3年3月31日の運行をもって廃止されました。
【2020年8月】
・2021年3月 画像追加