P-LR312J/IK COACH/63-8
天羽日東バスに所属していたLRです。
網棚、板床、白幕(側面は使用停止)とまさに「ローカルバス」を体現したような1台で、座席の緑モケットや屋根上に並ぶ角形通風器など僚車の334号車と比べ原型に近い姿を保っていました。
車体は運転席窓上の凹みがなく、フロントバンパーはナンバープレートの左右に開口部があるなど、LR純正ボディとしても初期の仕様でした。特に運転席窓上の凹みがない世代の乗合車としては関東甲信越エリアで最後まで残ったのが本車であったと記憶しています。(山交のC599や茨交の468号車などは、いずれも概ね89年製以降に見られる凹みのあるタイプでした)
関東近郊としては奇跡的に残存していた昭和年式のLRではありましたが経年には勝てず、本体から移籍した日デRNに置き換えられ、2016年春頃に廃車されました。
乗車記 (注)撮影時期の関係で332号車以外の写真を使用している場合があります。
晩年の332号車が主に使用されていた戸面原ダム線の始発地、上総湊駅。営業所建屋に併設された乗り場と木造のガレージが趣深いターミナルでした。(ガレージについては2019年秋の台風により損傷し、その後解体されています。)
上総湊駅を出たバスは、竹岡線と同じルートで国道127号線を南に向かいます。湊川を渡る手前で左に折れ、ここから終点までは湊川に沿って進んでいきます。
館山道をくぐると更和で、鹿野山線が林道を迂回する場合は県道93号を経由してマザー牧場からこの付近に下りてきます。戸面原ダム線のルートは基本的に改良の進んだ2車線道路となっており、センターラインが消えるのは田原入口付近および石山付近の2ヶ所程度です。
区間便の終点となっている上後を過ぎると家並みが途絶えがちになり、房総の田舎道といった雰囲気が強まります。(ところでこの区間便、姥石付近まで回送しているようなのですが、どうやって転回しているのでしょうか...)
谷深く蛇行する湊川を幾度か渡り、アースダムの堤体を横目に見ると終点の戸面原ダムに到着です。県道上で降車を扱い、ダム湖を渡った先の公民館で待機・転回します。
私が初めて訪れた頃は駐在あり・2台使用のダイヤでしたが、駐在廃止や区間便の設定など減量改正が続き、現在では当時と比べて寂しいダイヤになっています。移り行く時の流れを止めることはできませんが、戸面原ダムに宇治金時カラーのバスがやって来る日々が少しでも長く続くことを願っています。
【2014年8月以降複数回訪問】