天羽日東バス 袖ヶ浦22か・332/戸面原ダム

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P-LR312J/IK COACH/63-8

天羽日東バスに所属していたLRです。

 網棚、板床、白幕(側面は使用停止)とまさに「ローカルバス」を体現したような1台で、座席の緑モケットや屋根上に並ぶ角形通風器など僚車の334号車と比べ原型に近い姿を保っていました。

車体は運転席窓上の凹みがなく、フロントバンパーはナンバープレートの左右に開口部があるなど、LR純正ボディとしても初期の仕様でした。特に運転席窓上の凹みがない世代の乗合車としては関東甲信越エリアで最後まで残ったのが本車であったと記憶しています。(山交のC599や茨交の468号車などは、いずれも概ね89年製以降に見られる凹みのあるタイプでした)

 

関東近郊としては奇跡的に残存していた昭和年式のLRではありましたが経年には勝てず、本体から移籍した日デRNに置き換えられ、2016年春頃に廃車されました。

 

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戸面原ダムにて 白バンパーに「酒は東魁」の広告、褪せ気味の日東カラー。野暮ったさが堪りません。

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戸面原ダムにて 非常口後部はサッシ窓となっています。分散冷房を採用しているため屋根上はすっきり。

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戸面原ダムにて 昨今のコントラストの強い色使いの車内とは異なる落ち着いた雰囲気。甘ったるい床油の香りも今は記憶の中だけに...



 

乗車記 (注)撮影時期の関係で332号車以外の写真を使用している場合があります。 

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上総湊駅にて 内房線の木造駅舎、窓口併設のバス乗り場、白バンパーの日東バス。古ぼけたバスに乗り込み、板床の香りに包まれて発車を待つ時間が好きでした

晩年の332号車が主に使用されていた戸面原ダム線の始発地、上総湊駅。営業所建屋に併設された乗り場と木造のガレージが趣深いターミナルでした。(ガレージについては2019年秋の台風により損傷し、その後解体されています。)

 

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上総湊駅にて 湊に貸切車がいたのも今は昔。

 

上総湊駅を出たバスは、竹岡線と同じルートで国道127号線を南に向かいます。湊川を渡る手前で左に折れ、ここから終点までは湊川に沿って進んでいきます。

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天羽高前にて 

館山道をくぐると更和で、鹿野山線が林道を迂回する場合は県道93号を経由してマザー牧場からこの付近に下りてきます。戸面原ダム線のルートは基本的に改良の進んだ2車線道路となっており、センターラインが消えるのは田原入口付近および石山付近の2ヶ所程度です。

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神徳入口にて 平日朝にはU-LRが使用されることも

区間便の終点となっている上後を過ぎると家並みが途絶えがちになり、房総の田舎道といった雰囲気が強まります。(ところでこの区間便、姥石付近まで回送しているようなのですが、どうやって転回しているのでしょうか...)

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石山にて 前後の区間は改良が進んでいましたが、橋の幅員はそのままでした。

谷深く蛇行する湊川を幾度か渡り、アースダムの堤体を横目に見ると終点の戸面原ダムに到着です。県道上で降車を扱い、ダム湖を渡った先の公民館で待機・転回します。 

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戸面原ダムにて バス停と転回所は若干距離があります。

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戸面原ダムにて 初めて訪れた2014年の夏。この頃はまだ駐在がありました。

私が初めて訪れた頃は駐在あり・2台使用のダイヤでしたが、駐在廃止や区間便の設定など減量改正が続き、現在では当時と比べて寂しいダイヤになっています。移り行く時の流れを止めることはできませんが、戸面原ダムに宇治金時カラーのバスがやって来る日々が少しでも長く続くことを願っています。

 

 

【2014年8月以降複数回訪問】