栃電バス根張車庫のジオラマを作る 3【桜を作る】

すっかり間が空いてしまいました(汗)

今回はジオラマに植える樹木を作っていきます。

 

アルピコ交通川後線麻庭付近の桜。この写真を撮ったのは4月27日でした。

 降雪地の山間部で大型連休のころに淡く咲く桜も、本作でどうしても取り入れたかったテーマのひとつです。しかしながら、わっさわっさと咲くソメイヨシノと異なり枝振りが透けて見えるため、樹木部分の工作をどうするかが問題でした。樹木の細密化で近年の王道はオランダフラワーですが、山に生える桜として使うには樹形が違うような...という気がしてきてしまい、桜問題はしばらく棚上げになっていました。

そんな折、とある模型店で見つけたのが艦船模型用を謳って売られていたΦ0.08mmの銅線。これを使えばそれらしい樹形と細かい枝先を持った桜の樹が自作できるのでは!?ということで重い腰を上げて作業に取りかかりました。

バルサの端切れから幹の大まかな部分を切り出していきます。

 我が家の自作樹木は、バルサ材の幹と極細銅線の枝先の組み合わせが基本構成です。実物写真とにらめっこして枝振りの特徴を掴んだら、適当なバルサ端材をカッターで切り出して幹を組み立てていきます。枝を落とした部分や折れた部分を再現したいときはこの段階でバルサの断面を活かして切り口を作り、塗装終了までマスキングしておきます。

 枝の方は極細銅線を長さ20mm程度で切り出し、6~10本程度束ねたものをひたすら指先でよじっていきます。よじってよじってよじります。この方法で樹木を作るときのハードルは全てこのよじり作業に集約されていると言っても過言ではありません。

2枚目中央のような よじり枝先ユニット をとにかく大量生産します。

 幹と枝が揃ったら、瞬着で組み立てていきます。実物写真を参考に、それらしい枝振りを目指します。もし枝が足りなくなったら、再度よじります。とはいえ完全再現はどだい無理なので、ある程度ボリューム感が出てきたら大きな段差や隙間を瞬着で埋めて、最後に水で溶いた木工用パテで幹の形を整えつつ樹皮を再現したら塗装作業に移ります。

幹と枝を組み合わせたところ。この写真はまだ完成ではなく、枝がかなり沢山必要になるので忍耐力が試されます...

更に細密感を出したい場合は、よじった枝先に細かく切り出した極細銅線を瞬着で接着すると密度が上がります。かなり面倒ですが、見せ場の一本なら手間を掛ける価値はあると思います。

 細かく入り組んだ細い枝先がウリのこの桜の樹、流石に筆塗りは厳しいため吹き付け塗装が基本です。まずはタミヤのサフ(缶スプレー)をひと吹きして様子を見つつ下地を作ります。

生地完成ボディ(?)


 続いて本塗装はエアブラシで。ウッドブラウンとジャーマングレー(とお好みでほんのりライトグレー)を適当な比率で混ぜて、フラットベースを添加したものを吹き付けます。最後にエナメルで調子を整えれば良い感じの樹ができあがります。

塗装完了。左は同時に制作していたカラマツです。

 塗装が済んでしまえば、あとは楽しい仕上げ作業です。今回はほんのり葉も出ている様子を再現したかったため、始めにスプレーのりを吹き付けてから、KATOの「木の葉 若緑」を要所要所に配し、その後に同じくKATOのナノプランツ「日本のさくらの花びら」をまぶしました。

幹に付いたナノプランツは目立つためピンセットの先端で払い落とし、取れなかったところはエナメル塗料で樹皮の色にしてしまいます。

 太い幹にあまりに花びらが付いているのはおかしいので、最後に目立たないようフォローすれば完成です。面倒な作業が続きますが、情景に配したときのやりきった感も相応に感じられ、楽しい作業でした。

 この記事では桜を例にとりましたが、他の樹木でも葉の再現に利用する素材が違うだけで基本的な流れは同様です。個人的には結構気に入ったので、次回作でもこの方法で作った樹を植えたいなと考えています。

電線が枝の隙間を抜けていく様は、スポンジ塊では再現しにくい部分です。

春の朝日を浴びて... この細やかな雰囲気は自作ならではだと思うのですが、いかがでしょうか...?

...さて、車庫ジオラマ制作記の次回は、文字通り「地面」に進みたいと思います。第2回→第3回では半年ほど間が空いてしまったので、次はもう少し早く投稿できるようにガンバリマス。