JRバスは、いいぞ。
人間、生きていると定期的に青いつばめバスに乗りたい波に襲われます。現役路線では、三義長谷循環と大平橋が個人的ツートップ。のどかな風景、狭い道、耳に溶ける平山ボイス、ローカル便でもパリッと制服を着こなす運転士さん。あぁJRバス慕情。
...のっけから話が逸れました(汗)
世代的に、民営化後しばらくの「いかにも国鉄バス」な仕様のJRバスはお目に掛かったことがないのですが、なんだかそういう類いのバスの模型が欲しくて仕方なくなってしまったので、前面加工をメインに国鉄バス時代に投入された富士5Bを仕立ててみました。タイプ色の強い作品ですが、近年のバスコレ製品ではなかなか描ききれていない国鉄バスらしいクセの強さを再現できたのではないかと思います。
今回のプロトタイプは民営化時点で久慈に在籍していた前中引戸のLV214N(531-5572)です。ベース製品(広島バス/5E 5台セットA)はUA32Lを再現しているので本来はもっと色々手を入れなければならないのですが、今回は(も?)雰囲気モデリングなので尺関連はノータッチです。中引戸周辺は手元に転がっていた神奈中限定から拝借し、扉幅がそのままだと窓割との関係で収まりが悪いので切り詰めて幅を狭くしました。
実際のところUA32LはLV214Nに比べてWB、車体長ともに短いのですが、中扉を狭くすることで車体を相対的に長く見せて長尺感を出しています。(おこぼれとして、斜めから見たときに幅広な印象が拭えないバスコレ5Eの中引戸の印象が改善するという効果もありました。)
とはいえ、パネルラインやグリル配置がUAのままでは興ざめですので、手の掛からない範囲で「いすゞらしく」見せる加工は行っています。リアオーバーハングの車体裾は直線に、リアと右側面の不要なグリルはプラ板で埋め、左側面最後部のグリルを追加しました。パネルラインも瞬着での埋め込み、Pカッターでの彫り込みで修正しています。一体成形された屋根上の角形通風器も不要なため、この段階で切除して整えておきます。このほか車体関連では、塗装直前にテールランプの位置を気持ち程度下げました。
前面まわりでスラント追加などの加工をする場合はどうしても強度が下がりますので、車体側の作業を先行させるのが鉄則です。今回もリアや側面、屋根を片付けた後に前面に着手しました。前面は窓下部をかさ上げし、スラントは目分量で調整しました。おでこは5Eのままだと張り出しが足りないため、プラ板と瞬着で前出ししたあとヤスって整形しています。この辺の作業はとにかく実車写真とのにらめっこが大事です。経験上、うろ覚えのイメージでヤスリを掛けているとまず間違いなく削りすぎます。気をつけましょう(自戒)。
前面のディティールは、既存パーツとプラ材の組み合わせで構成しました。ライトベゼルは種車のものをそぎ取って再利用、行灯回りの装飾はt0.1、t0.3のプラ板からでっち上げました。運転席窓下辺やマーカーランプ位置にも手を加え、バンパーにはPカッターで筋を入れています。前面窓は17弾のRUより。多少面倒でもワイパー基部や手摺を種車から移設すると「製品っぽさ」が出るのでおすすめです。
一度サフを吹いて問題が無かったので本塗装へ。塗装はエアブラシによる吹きつけです。できるだけ楽にマスキングしたいということで、青20号(GM#16)+キャラクターブルー(クレオス#110)→アルミシルバー(GM#39)+スーパークリアー半光沢(クレオス#181)→クールホワイト(クレオス#GX1)の順に吹きました。バンパーや前ドア下部の化粧板、フォグランプなども後から色を入れるのが面倒なため、車体塗装と同時にマスクして塗り分けています。
色差しや自作デカールによる標記入れはいつも通りに進めれば良いのですが、今回迷ったのがエンブレム類の再現です。フロントの動輪マークや側面のつばめマークは立体感が欲しいものの、流石にプラ板を彫り込むのはつらいためしばらく逡巡......。結局、自作データを写真用紙に印刷してカッターで台紙を削ぐという方法に落ち着きました。車体への貼り付け前に断面を銀でタッチアップすると存在感も出て好ましい雰囲気になります。
最後に車体へクリアーを吹いて、座席パーツの枕カバーなどを軽く塗り分ければ完成です。座席色は資料がほとんど無いためそれなりに迷ったのですが、TwitterのJRバス東北公式アカウントが随分前にツイートしていた写真でたまたま暖色系のモケットが見切れていたため、今回は種車の色そのままとしました。
-完成-
割とアバウトに始めた工作でしたが、それなりにカッチリまとまってくれたのではないかと思います。車体断面やリアはそのままなので、前面のスラント角度さえ見切れればそれほど難しい題材ではないかもしれません。
実は運転席上の通風口を忘れた説が濃厚なのですが、それは追々(小声)
豪華なのか質素なのかよく分からない癖の強い5型のバスが、集落の細道を抜けて走ってくる情景を、いつか作ってみたいと思っています。
【2022年1月完成】