栃電バス122号車(BU04)を作る

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栃原電鉄自動車部 122号車(22か2223)

BU04/川重/1980年式 

 

 

唐突に始まった架空事業者「栃原電鉄」シリーズ、1作目です。

種車には国際興業のBUと岩手県交通のCJMを使用し、BUをベースに比較的近年の製品であるCJMから主要パーツを移設することでディティールアップを図りました。

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両車のボディをIPAから引き上げたところ。BUは初期製品だけあって、近年の製品と並ぶとディティールの甘さが目立ってしまいます。

はじめにBUの前面やリアの窓下ディティール部を全てそぎ取り、側面は前扉・運転席窓を残し雨樋より下を切り取ります。側面後部のグリルはBUとCJMで配置が異なるため、BUボディのものを残してクランク状に切継ぎました。ここにWBを調整したCJMの側面を接合しますが、このときBU側の雨樋下にt0.1プラシートを挟んでおくと側窓位置が良い塩梅になります。前扉は腰板部とは別に交換し、運転席窓についてはBUボディのサッシを切り取りCJMの窓パーツに合わせて整形しました。

パテと瞬着で継ぎ目を消し、CJMボディから削いだライト類を移設すればメインの工作は完成です。

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製品そのままのBUと。

 続いてディティール工作に移ります。前面幕はガラスをハメコミ化したかったので大型化することにして、プラ板から筐体を自作しました。開口部はt0.5プラ板(+Hゴム表現のプラシート)ぶん凹んでおり、ここに印刷した行先表示と切り出した透明プラ板が収まります。側面幕は車体側ですので、開口したプラ板を車体に接着した上でトレジャーのバス用パーツ集から使えそうなHゴムを貼り付け、開口部を塞ぐようにプラ板で裏打ちしました。

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前面幕まわり。マーカーランプも若干移動させたほか、プラ小片で前面後退角を強調しています。

 リアは他の部分に比べ加工が控えめで、エッジを強調し曲面を小修正したほかは手を加えていません。屋根上には外板接合部のシール(?)をマスキング&溶きパテ筆塗りで表現し、ついでに位置がいい加減なダクトを移設しました。通風器は好みでカマボコ通風器を3つ並べています。なお、従来塗装後にゴム系ボンドで接着していたプラ小片によるバックアイカメラも、この段階で流し込み接着剤により固定してみました。

 

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赤線が切継ぎ線、青線がプラ材を追加した部分です。

 生地完成車体をしばらく眺めたところで塗装に入ります。今回使用したのは、クレオスのあずき色(81番)、ガイアの青15号(1003番)、同じくガイアのインテリアカラー(233番)です。吹きつけは上記の順で行いましたが、あずき色の吹き始めはライトグレーを混ぜて下地を兼ねています。また、インテリアカラーは塗料単体では明るい色ですが、青15号が透けることで良い感じに青みがかった色になってくれました。窓桟やHゴム、雨樋は面相筆で色入れし、エナメル塗料でのウェザリングもいつも通り行っています。

最後に標記類を貼り、リア広告枠やバンパー、バスコレCCM制作時の没パーツを流用したミラーなどを接着すれば完成です。出入口標記はトレジャーのインレタ、社番はBトレ東武ステッカーを使用しました。また、バンパーにはハセガワのミラーフィニッシュを貼り付けてメッキ風に仕立てています。

 

-完成-

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製品のBU04は少しもったりした表情でしたが、パーツ交換ですっきりさせられたのではないかと思います。バンパー形状のせいかお顔があと一息な感もありますので、折を見て修正して行きたいところです。

 

 

【2020年10月完成】

 

 

 

以下、文字だらけの長い長い蛇足です。

今回架空事業者設定を試してみた一番の理由は、実在ナンバーを再現しようとすると間々ある「リアの広告が分からない」「微妙に仕様が好みでない」というようなケースがぼちぼち面倒になってきたからです。架空の車両であれば、ドア配置もバックカメラの種類も広告も行先も思いのまま(そのぶん説得力を持たせるために要求される水準は高くなりますが)ですので、工作中のストレスは大分減りました。そもそも実車が存在しないという力技によって資料不足問題が解決してしまうわけです(笑)

 

とはいえ、そんな消極的な理由だけでなく架空事業者は一度やってみたいテーマだったので、一応それなりの設定は考えてみました。

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この時期の北東北なら中扉は折戸が鉄板では?その環境で大型幕を選ぶの?等々ツッコミどころは色々ありますが、そこはそれ。結局かっこよければ良いのです(多分)

 まず、80年代後半まで非冷房車を入れていても違和感のない寒冷地である必要があります。とはいえ北海道まで行くと長尺の大型車ばかりになってしまうので、モチーフは結局(当然のように)北東北あたりに落ち着きました。松電や川中島も好きなので、長野風味も若干加わっています。

時代設定は90年代半ば~ゼロ年代頭くらいを想定しています。車種構成的に一番ツボな、川重モノコックも残りつつエルガミオが入るか入らないかぐらいの時期です。

 

電鉄というとどうしても規模が大きくなりがちですが、今のところのイメージとしては「野鉄+御坊南海」とか「銚電+ちばこうタクシー」みたいな規模感です。※資本は関係なく規模感だけの話です。

 

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しかしこの線路、いったい何を運ぶために敷いたのか。

路線は、鉄道線の起点(栃原)市内のバスセンターを起点とした路線群(大型も使用)と、鉄道線終点(御堂口)から伸びる数路線の枝線(中小型メイン)、といったような塩梅でやっていこうかと考えています。バスセンターといっても規模は大した物ではありませんが、大田(島根)や伊那(長野)のような例もありますのでそれほど変な話ではない...はずです。遠野「バスセンター」なんていうのもありますし。

国鉄並行路線にエアサス高級車を入れて無双していたら国鉄末期~JRのフリークエントサービスにメタメタにされてかつての幹線が今や見る影も無し、みたいな事もやってみたいのですが、それが可能な都市規模になるかは今後の設定次第ということで。

 

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...ちなみにこの122号車、経営状態の悪化や持ち前の悪運(?)でだいぶ長生きして、2003年頃までダイヤ固定で走っていたそうです。2004年秋に除籍されたそうですが、晩年は雑誌に載ったりしてマニアの間では比較的有名な個体だったとかなんとか。

 

以上、お粗末様でございましたm(_ _)m