KK-LR233F1/I-BUS/00-2
湯本バスターミナルに所属する青銀カラーのF尺エルガミオです。
錆色が寒色系のカラーリングを引き立てるくたびれた車体、使用する気配のない系統幕、バスカードや踏切一旦停止のステッカーなど「県交通の青銀」らしさは十分で、エルガミオと侮ることなかれ、その姿は魅力にあふれています。同じく湯本ローカルで使用されていた岩手22き1022が鬼籍入りし、現在では湯本最後の青銀カラーとなった模様です。
製造から15年以上が経過したこの世代でも状態の良くない車両の廃車が進行しているようで、正調青銀カラーを纏った県交通のLRに残された時間はあまり多くはないのかもしれません。
乗車記
凍てつく冬の朝、北上からの列車を降りて改札を抜けると、待っていたのは屋根にどっさり雪を載せた湯川温泉行きの青銀エルガミオ。おなじみのバスカードをリーダーに通して乗り込みました。
7時10分、私だけを乗せたバスがほっとゆだ駅を後にします。駅から続く通りに面した家々には昨夜から積もった雪をかく人たちの姿が。よそ者がひとり紛れ込んだほかは、きっといつもと変わらない豪雪地帯の朝の光景が展開していきます。少し走ると家並みは途切れ、あとは湯川の温泉街まで人煙まばらな小鬼ヶ瀬川の谷底を走ります。観測所前、天子森、土畑鉱山などどこか幻想的なネーミングのバス停が続きますが、チェーンの巻かれた後輪と唸るヒーターの音にかき消され、悲しいかな、アナウンスはあまり聞き取れませんでした。
雪化粧した木立の間を抜けるとバスはほどなく湯川の温泉街に入り、万鷹前バス停を過ぎると道幅もぐっと狭まります。立ち並ぶ旅館を縫うように進むと、終点の湯川温泉に到着です。こちらも雪のため狭くなっており、転回後はバス停前につけて発車まで待機していました。公式の時刻表と行先幕は「湯川温泉」表記ですが、年季の入ったバス停丸板は「湯川」だったのが興味深いところです。
ローカル駅から温泉を結ぶロケーションと片道15分ながら回送だらけのミステリアス(?)なダイヤが素敵だった湯川線ですが、残念ながら2018年9月30日の運行をもって廃止となり、翌月からは予約制乗合タクシー「湯川温泉湯けむりタクシー」が同区間を運行しています。
【2018年2月訪問】